既に寝入

「桐谷さん」
「何だ?」
サイドボードの照明を消そうとしていた桐谷は手を止めた。
「ありがとう」
おやすみなさい、と小さく言ったアキに、桐谷もお韓國 食譜やすみと返して、明かりを消した。

その夜、アキはまた、夜中に目を覚ましていた。
ベッドに半身を起こし、何かを鎮めようとするように、目を閉じて静かに肩で息をしていた。
桐谷は隣でそれに気付いていたが、声を掛けるのは何となく憚られ、しばらく経って再びアキが横になるのを黙って見守っていた。
次の朝、アキは熱を出した。
「37度9分。。。。2日も続けて外に座ってたりするからだ」
アキから受け取った体温計を見て、桐谷は顔を顰めた。
思った通りだ。今朝目が覚めた時、隣から感じる体温はこれまでより熱かった。
「。。。ごめん、桐谷さん。迷惑かけて」
「謝らなくていいから、もうちょっと普段まともな生活をするように努力しろ」
「。。。はい」
弱々しく掠れた声で、アキが答えた。

病院には行かない、寝てれば治る、早く仕事に行ってとアキが強く主張するので、桐谷はアキを部屋に置いて通常通り出勤することにした。
食欲がないとアキは言ったが、桐谷が野菜スープを作ると、何度か口に運んで、薬を飲んだ。
身支度を整え、ベッドルームを覗いた時には、アキはっていた。
浅い呼吸。少し汗をかいている。
あの身体の冷たさから考えると、恐らく平熱は低いだろう。38度近い今の体温は、かなり辛いに違いない。
桐谷は一旦キッチンに行き、冷たい水で濡らしたタオルを手に戻る。
額に乗せてやると、アキは身じろぎして、気持ち良さそうに小さく息を吐いた。
これまで体調を崩した時は一人でどうやってしのいで来たのだろうか。
まともじゃない場所に長く寝泊りしていたのなら、尚更。
熱が上がってこないか気掛かりだったが、念のため店の電詩琳話番号を書いたメモをサイドテーブルに置いて、桐谷は部屋を出た。



2015年09月18日 Posted by塵緣如夢 at 12:25 │Comments(0)

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