博は声をあげて泣い

  涙がポタポタと垂れてきた。


  「何だよ、このにいちゃん。頭がおかしいんじゃねえのか」


  泣きだした博を見て男がたじろいだ。博から離れると、ビール瓶を捨て玄関へと走る。


  「冗談じゃねえよ。デブが二人で何やってんだよ」


  靴も履き終わらないうち、転げるように出ていった。


  「博さん」小百合が跪《ひざまず》き、博を抱きしめた。「そんなにわたしのことを愛していてくれたのね」


  ちがうわい。ちがうに決まってるだろう。でも言葉にならない。ただ涙が溢《あふ》れでるばかりだ。


  「ごめんなさい。あなたがいなくなって、わたし淋しかったの。あんな男、好きでもなんでもないの」


  うるせえ。何を勝手な誤解してやがる。このブタ女が。博は声をあげて泣いていた。


  小百合に手を引かれ、博は立ちあがった。


  小百合がネグリジェを脱いだ。


  「わたしの胸で泣いていいのよ」


  ベッドに二人で横たわった。小百合が博の服を脱がせる。


  博は小百合の上になり、まだ硬くなってもいない性器を押しあてた。


  「いいのよ、博さんの好きにして」


  このデブが。このブスが。おまえなんかどうせ高卒か、名前も知らない短大卒ぐらいだろう。こっちはW大の政経学部を出てんだ。中学高校とずっと偏差値は七十以上だったんだぞ。


  おまえなんか、おまえなんか——。


  「いいわ、とってもいいわ」


  腰を振ると小百合があえぎ声をあげはじめた。博はまだ泣いていた。


  小百合にのしかかり、首を絞めた。そのまま腰を振る。だんだん性器が硬くなった。


  「ちょっと……いや……」


  小百合の手が博の腕を引っ掻《か》いた。爪が立てられ、痛みが走る。


  博はさらに両手に力を込めた。性器がぐいぐいと締めつけられる。


  小百合が白目を剥《む》いた。それでも博は腰を振り続けた。


  落ちた涙の滴が、小百合の胸で弾けていた。

  


2018年04月20日 Posted by 塵緣如夢 at 16:59Comments(0)