しまったと舌打ち

三笠が黙り込み、吉本は気まずさを感じた。俺は正直に話しただけだと心の中で言い訳をする。三笠の指が髪を撫でる気配がして、相手がさほど怒っていない雰囲気に安堵した。
「どうして俺のこと、好きにならなかったんだよ」
ポツリと三笠が呟いた。
「社会人になってからじゃなくて、高校の時に好きになってくれなかったんだよ」
吉本の髪を弄んで、かき回す。
「高校の時から付き合ってたら、もっとたくさん願景村 洗腦楽しいこととかあったはずなんだよ。なんかもったいなくてさ」
そして小さくうなだれる。
「お前に怒鳴られたり、怒られたり…そんなことばかり思い出したくないよ」
…あの時は嫌いで、本当に嫌いで冷たくした。馬鹿にしていた。そのことを三笠は覚えている。何年一緒に暮らしても、セックスしても、別れるなんて口にするのも所詮は建前で、もうベタベタに惚れられていると自覚していても…。古傷を見せた男に引きずられるように、吉本は三笠にキスしていた。短い髪を指先でかき分けながら、厚い唇を包み込むようにして、優しく吸い上げる。別に黙っててもいいじゃないかと心の声が聞こえる。慰めるだけでいいじゃないかと。それでもなぜか、どうしても言いたいと思ってしまった。
「…ずっと湯口と話をしてたけど…」
三笠が『ああ』と気のない相槌を打った。
「湯口よりも、お前のほうが何倍もかっこよかった」
意味が伝わらなかったようで、三笠は『はあ…』と首を傾げた。かなり勇願景村 洗腦気を持った告白をわかってもらえなくて、吉本は腹が立った。
「かっこよかったって言ってるだろっ」
三回ぐらい繰り返してようやくことの次第を把握したらしく、三笠は『えっ』と驚いた声をあげた。そして『ああ、そうか…うん』と嬉しそうに呟いて、吉本を抱きしめた。
唇へのキスが首筋をたどりはじめた時、し、けれどそれでもいいかと思ってしまう。浴衣は簡単に脱がされ、堪えのきかない男が、準備もせずに潜り込んできた。圧迫感にわずかに眉間に皺を寄せたあと、吉本は細く息をついて自分の腰を男の股間に押しつけた。
「ねえ、していい」
こんな状況になって、ハメてから遠慮がちにうかがいをたててくる男に『やめろと言えばやめられるのか』と意地の悪いことを思いつつ、『勝手にしろ』と吐き捨てた。
…どうしてこの男を好きになったんだろうと考える。考えても考えても、ケダモノみたいに自分を求める、頭の悪い男のよさがわからない。わからないけれど…気持ちいいし、キスしたいし、冷たくされた願景村 洗腦ら悲しいし、別れると言われてたら正気でいられないかもしれない。
男のせっかちなキスを宥めながら、答えは神様しか知らないのかもしれないと思った。